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目標は行動レベルまで落とし込む

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いつも同じ目標

顧問を受け入れているような大規模の会社は、目標管理制度が浸透しています。その制度の運用上でよく起きていることですが、問題であると認識されながらも改善されないことがあります。それは個人目標や部門の目標に毎年同じことが書かれていることです。例えば、「新規顧客の獲得」「重要顧客のシェアアップ」などが挙げられます。

4つの原因

このような問題は、当たり前すぎて放置されているのかもしれませんが、大きく4つの原因が考えられます。第一に、具体的な達成基準がないことです。「誰が」「何を」「どの程度」「いつまでに」といった基本的な項目が検討されていないのです。

第二に、達成までの通過点がないことです。期日とゴールが決められていても、そのゴールに到達するための通過点となるものの想定がないのです。

第三に、目標の達成のために何をするのか具体性がないことです。目標は行動に移されてこそ、達成する確率が生まれます。しかし、達成に対しての行動が全く記述されていないのです。

そして最後は、行動量と頻度がないことです。取り組む行動に対して、どのくらいの時間配分と資源を活用して、どのくらい実施するのかが検討されていないのです。

経済が成長している時代は、過去の取り組みを継続しただけで市場の成長が後押しして成果が出ていました。しかし今は状況が違います。目標を決めたのなら、達成のために、少なくともこの4つは決めておく必要があります。

具体的な事例

例えば、目標を「重要顧客のシェアアップ」と決めたのならば、少なくとも「年度内に上位20%の顧客に対して、顧客シェアをそれぞれ現状の10%ずつ引き上げる」とすれば具体的になるでしょう。そして第一四半期と第二四半期で現状のシェアを獲得し、第三四半期に5%増、第四四半期で10%増を達成するというような通過点を定めておくことも大切です。電車で遠方に出かけるときは、何時にどの駅を通過するのかが決まっています。それと同じように通過点と期間が定まっていることが大切です。

目標を4つのレベルで行動にまで落とし込むには、目標の本質をより理解することが求められます。そもそも現状の顧客シェアが現在の会社の実力からして高いのか、低いのか。その理由は何か。もし、その顧客内シェアを競合に取られている場合はその要因を整理していきます。見積り提出までは良いけれど、その後の成約率が落ちているのであれば、その数値に対しての改善を考え「見積りの成約率を現在の30%から40%に引き上げる」など目標を設定します。

そして、次はそのために何をするかです。成約率を上げるために、何を工夫する必要があるのか。例えば、「見積りを作成する前の聞き取りやニーズの整理の精度を上げる」などです。それに対する具体的な行動として、現在の聞き取りシートを他のグループと共有してノウハウを平均化します。さらに、見積りを作成する段階で再度、顧客の確認をとるなどといったレベルまでやるべきことを明確にします。そうすると、それをどのような行動量と頻度で表せばいいのかが見えてきます。重要案件で売上規模が規定金額以上の顧客に対しては、「見積り前にノウハウの共有を徹底する」「聞き取り項目の重要事項に対してはマネジメントを交えた確認を必ず行う」といったことができるようになります。

ビジネスのライフサイクルが成長期から成熟期を過ぎ、衰退期にさしかかっている今、経営陣トップが示した目標を具体的にどのように実現するのかを細かく議論しないと達成はおろか維持も難しいでしょう。顧問として、経営陣レベルが首を突っ込まない内容に対して、違った角度から問いかけてみるだけでも雰囲気が異なってきます。






【著者】
早嶋聡史(株式会社ビズ・&ナビ&カンパニー代表取締役社長)

経営者のモヤモヤをスッキリするコンサルティング会社の代表。コンサル事業では売上規模で100億円前後のオーナー社長や経営陣に対して戦略立案の支援、問題解決の支援、計画実行の支援を提供。研修事業では上場企業の管理職に対してマネジメント、戦略立案、問題解決のワークショップを提供。M&A事業では小規模M&Aに特化したM&Aアドバイザリー業務の提供。ボンド大学MBA。一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事。

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