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SDGsでできることとは?企業や個人それぞれで、できることを考える

SDGs

近年、至るところで耳にするようになったSDGsというワード。貧困や差別といった世界的な社会問題の解決を目指す目標であり、興味や関心を持つ方も増えています。しかし、SDGsのために自分や自社が実際にできることはあるのか、いま一つイメージできていない方が多いのも現実でしょう。

今回は、SDGsの実現のために企業や個人ができることについて解説します。

1.SDGs(持続可能な開発目標)の背景や目標について

SDGs(Sustainable Development Goals)は、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年の国連サミットで、「世界が直面する貧困や環境問題解決に向けた国際開発目標」として採択されました。

SDGsには、17の目標とその達成に欠かせない169のターゲットが設定されており、2030年までの達成に向けて世界各国で取り組みが推進されています。日本においても、政府主導のもと、大企業を中心に独自の取り組みが加速しています。

SDGsの取り組みを実行するためには、まずSDGsがどのようなものか理解する必要があります。SDGsが注目される背景と、17の目標の内訳から見ていきましょう。

1-1.SDGsが注目されるようになった背景

SDGsがこれほどまでに注目される背景には、大きく4つの要因が挙げられます。

●自然災害の増加やエネルギー不足に代表される、環境&社会問題への関心の高まり
→豪雨や台風の襲来、水道光熱費の高騰など、身近で問題を実感する機会が増えている
●だれでも理解しやすい明確な目標&ゴールの設定
→「1日1.25 ドル未満で生活する人々の貧困を終わらせる」など目標が具体的
●経済活動にとても重要であるとの研究報告
→年間12兆ドルの市場機会と3億8,000万人分の雇用が生まれるとも試算されている
●新型コロナウイルスの影響による生活様式の変化
→テレワークの普及やペーパーレス化の促進など、従来の常識が変化しつつある

SDGsの掲げる理念は「だれ一人取り残さないこと」です。あらゆる企業にとっても、また個人にとっても関係があり、その注目度は高まり続けています。

我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ

BETTER BUSINESS BETTER WORLD

1-2.17の目標

SDGsで掲げられる17の目標と概要は以下のとおりです。

【SDGsの17の目標と概要】

1.貧困をなくそう
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

2.飢餓をゼロに
飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

4.質の高い教育をみんなに
すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する

5.ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女児の能力強化を行う

6.安全な水とトイレを世界中に
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

8.働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

9.産業と技術革新の基盤を作ろう
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進およびイノベーションの推進を図る

10.国や人の不平等をなくそう
各国内および各国間の不平等を是正する

11.住み続けられるまちづくりを
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する

12.つくる責任つかう責任
持続可能な生産消費形態を確保する

13.気候変動に具体的な対策を
気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる

14.海の豊かさを守ろう
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

15.陸の豊かさを守ろう
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復および生物多様性の損失を阻止する

16.平和と公正をすべての人へ
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

17.パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組 - 外務省国際協力局

またSDGsでは、この17の目標それぞれに対してさらに詳細な実現のための方法(169のターゲット)が定められています。

2. SDGsの現在までの達成状況

SDGsの達成状況は「Sustainable Development Report」により毎年公表されています。日本と世界の最新の達成状況を確認していきましょう。

2-1.日本の達成状況

2022年時点における日本のSDGsの達成状況は、世界で19位(全163カ国中)です。17の目標の個別の達成状況は以下のとおりとされています。

【2022年時点 日本のSDGsの達成状況】

●達成済み
4.質の高い教育をみんなに
9.産業と技術革新の基盤を作ろう
16.平和と公正をすべての人へ

●課題が残っている
1.貧困をなくそう
3.すべての人に健康と福祉を
6.安全な水とトイレを世界中に
8.働きがいも経済成長も
11.住み続けられるまちづくりを

●重要な課題が残っている
2.飢餓をゼロに
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
10.国や人の不平等をなくそう

●主要な課題が残っている
5.ジェンダー平等を実現しよう
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさを守ろう
17.パートナーシップで目標を達成しよう

Japan OECD member - Sustainable Development Report

このように日本は、平和や教育にまつわる目標を達成する一方、自然資源の保護や気候変動への対策では後れを取っています。

2-2.世界の達成状況

一方、世界では特に北欧諸国が率先してSDGsを達成しつつあります。2022年時点の、SDGsへの取り組みが進んでいる上位10ヵ国は以下のとおりです。

【2022年時点 SDGsへの取り組みが進んでいる国】

●1位:フィンランド
●2位:デンマーク
●3位:スウェーデン
●4位:ノルウェー
●5位:オーストリア
●6位:ドイツ
●7位:フランス
●8位:スイス
●9位:アイルランド
●10位:エストニア

Rankings - Sustainable Development Report

SDGs達成状況1位のフィンランドは、世界幸福度ランキングでも例年1位に輝いている国です。同ランキングではほかの北欧諸国も上位にランクインしており、SDGsの達成が人々の幸せにつながる可能性が示されています。

3.個人でできるSDGs

世界規模の話題であるSDGsですが、自分とはどこか縁遠い話に聞こえてしまいやすいトピックでもあります。

しかし、SDGsの達成には個人の小さな努力の積み重ねが欠かせません。私たちが日々の生活で貢献できるSDGsへの取り組みは数え切れないほどあります。ここでは、無理なく挑戦しやすい5つのアクションをご紹介します。

3.1.エコバックやマイボトルなどを利用する

買い物の際にはレジ袋をもらう代わりにエコバックを持参しましょう。レジ袋の不使用はプラスチックごみの削減になり、海などの自然環境を守ることにつながります。

日本では2020年にレジ袋が有料化され、エコバックを常備している人も多くなりましたが、引き続き意識していきましょう。そのほかにも、カフェにマイカップやマイボトル、マイストローを持参することも、個人が手軽にできるプラスチックごみ削減の取り組みの一つです。

3-2.食生活を見直しフードロスを減らす

数年前の日本では、全世界の食料援助量の2倍にあたる600万トンにも及ぶ食品が破棄されていました。人々の意識改善や企業努力により、令和元年度は570万トン、令和2年度は522万トンと食品ロスは年々減っていますが、この良い流れを継続する必要があります。

●食べきれる分量だけ購入する
●食材を余すことなく使用する
●すぐに調理するなら賞味期限が近い食材を選ぶ

上記を意識するだけでも立派なSDGsへの貢献となります。

新事業・食品産業部 - 農林水産省

3-3.水や電気の無駄遣いをなくす

水資源は無限に存在するものではなく、今後は人口増加や地球温暖化などの影響で不足する国が増加すると予想されています。

また、電気やガスは多くのエネルギー資源を消費して生み出され、使用する際にも大量の二酸化炭素を排出する、地球温暖化を加速させる要因の一つといわれるものです。

●蛇口をこまめに閉める
●洗濯はお風呂の残り湯を使用する
●節水機能のあるシャワーヘッドを使用する
●使用しない部屋の電気は消す

上記のような些細な習慣の変化が、貴重な水やエネルギー資源を守ることにつながります。

3.4.オンライン決済を利用する

スマートフォンでバーコードを読み取り会計を行うQR決済など、オンライン決済の積極的な活用もSDGsにつながります。デジタルで領収書を受け取ることでレシート用紙の無駄遣いを削減できるためです。

いわゆる「ペーパーレス化」により紙の使用量が減少すると、貴重な森林資源の浪費を防げます。また、遠隔地にいながらの決済は移動にまつわるCO2の削減にも寄与します。

3.5.寄付や募金を積極的に行う

寄付や募金は、いままさに困難な局面にいる世界中の人たちに対して、直接的に支援ができる大切な取り組みです。

インターネットで調べると、物品や現金を集めて海外へ届けている非営利団体や慈善団体が見つかります。それぞれ目的や手段が異なるため、思想や理念に共感できる団体に寄付しましょう。たとえ廃棄しようとしていた不要品や気持ち程度の現金の寄付だとしても、集まれば多くの人を支えることができます。

4.企業でできるSDGs

SDGsの取り組みは大企業が際立っていますが、中小企業でもできることは多くあります。

また、前述のとおりSDGsへの取り組みは経済活動においても重要な可能性を秘めています。いまから取り組みを加速すれば、将来的に得られる成果も変わってくるでしょう。ここでは、比較的シンプルな構想でできる企業のSDGsの取り組みを7つご紹介します。

4-1.冷暖房の節約をする

今日からでも実現できるのが、オフィスで使用する冷暖房の温度管理の配慮です。

環境省によれば、冷房の設定温度を1度上げると約13%の消費電力量が削減できるとされています。また、2週間に一度などこまめにフィルターの掃除を行うことでも、4~6%ほど冷暖房の消費電力を削減できます。

エアコンの使い方について - 環境省

4-2.ペーパーレス化を導入する

社内書類や会議資料などを電子化する「ペーパーレス化」も、企業がSDGsでできることの一つです。紙の原料となる森林の伐採を抑えられ、動物の生態系を守ることにつながります。

ここ数年でリモートワークの導入が加速し、クラウドサービスの利用も浸透する中、企業におけるペーパーレス化の実現は難しい課題ではなくなりつつあります。

4-3.働き方や職場環境の見直しや改善を行う

従業員の働き方や職場環境のアップデートも、誰もが働きやすい社会を目指すうえで大切です。

長時間労働、頻繁な休日出勤、ライフステージの変化を理由にキャリアを諦めざるを得ない現状などは、早急に見直し改善しなければならない課題です。時短勤務やテレワークの採用など、従業員の希望に応じて働く場所や時間、方法を柔軟に選択できる環境が求められています。

4-4.ボランティアへの参加や寄付を行う

従業員にボランティア活動への参加や寄付を促すことは、それ自体がSDGsの達成につながりますが、SDGsの重要性を実感してもらう意味でも効果的です。

「この取り組みが自社のSDGsにつながる」と奨励されても、従業員が自分事として捉え行動することはなかなか難しい面もあります。しかし、従業員それぞれがボランティアや寄付によりSDGsの重要性を理解できれば、「やらされている感」の少ない主体的な参加が期待できます。

4-5.環境に配慮されたものに切り替える

社内で使用する物品を環境に配慮したものに替えていくことも、企業がSDGs達成に向けてできることです。

ペーパーレス化が前提でも、請求書や納品書、会社案内、名刺など、紙の使用が避けられない部分もあるでしょう。このような場合は、素材を再生紙に切り替えることでもSDGsに貢献できます。

なお、印刷物を保護するクリアファイルやラミネートは環境への影響が懸念されるプラスチック製品であることから、早急に切り替えを検討したい物品の一つです。最近では、一定の強度を保ちつつプラスチック含有量が少ない製品も販売されています。

4-6.通勤手段を見直す

社員の車通勤をできるだけ避けることも有効です。

国土交通省の発表によると、日本における二酸化炭素排出量のうち約2割が車の使用によるものです。政府も、車ではなくバスや電車などの公共交通機関、また自転車などを使用する「エコ通勤」を推奨しています。公共交通機関の利用を呼びかけ金銭的にも補助する、そもそも通勤が必要ないようにテレワークを推進する、といった施策を検討しましょう。

4-7.多様な働き方を取り入れる

性的マイノリティや障害を持つ人など、幅広い人材が活躍できる多様な働き方を実現することも大切です。企業として社員の多様性や個人にあった働き方を認めることは、SDGsへの貢献はもちろん「ダイバーシティ&インクルージョン」の尊重にもつながります。

最近では、性別を問わず利用しやすい更衣室など、ユニセックスな活動を念頭に置いた施設を用意する企業も登場しています。働きづらさを感じている社員はいないか、まずは匿名でアンケートを取るのも良いでしょう。

なお、企業がSDGsに取り組むための方法やメリットなど、詳細は以下の記事でも解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

企業がSDGsに取り組むためには-メリットや課題を把握し取り組みを成功させよう

5.SDGsの目標達成のための「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」とは

ここまでご紹介したSDGsへの取り組みがまだ難しく感じる場合は、国際連合が公開している「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」が役立ちます。

このガイドは、すべての人がSDGsに参加できるようにと「レベル1:ソファに寝たままできること」から「レベル4:職場でできること」まで、具体的なアクションを掲載しているユニークなものです。以下に代表的な行動を抜粋してご紹介します。

【ナマケモノにもできるアクション・ガイドの主要な項目】

■レベル1:ソファに寝たままできること
・使っていない電気機器・照明を切る
・SDGsにまつわるSNSの投稿をシェアする
・請求書をオンラインで支払う
・できるだけ印刷をしない
■レベル2:家にいてもできること
・ドライヤーを使わず髪を自然乾燥させる
・シャワーを短時間にする
・食べきれない食べ物は早めに冷凍する
・窓やドアの隙間を塞いで冷暖房効率を上げる
■レベル3:家の外でできること
・買い物はできるだけ地元でする
・「訳あり品」も積極的に検討する
・詰め替えできるアイテムを買う
・マイバッグを持参する
■レベル4:職場でできること
・若者の相談相手になる
・自転車や公共交通機関で出勤する
・労働者の権利を調べてみる
・職場内の差別について見逃さない

持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド(改訂版)- 国際連合広報センター

6.企業がSDGsに取り組むために必要なこと

最後に、企業がSDGsに取り組むために必要なことについて再確認しておきましょう。大切なポイントは大きく4つあります。

6-1.SDGsについて共通の認識を持つことが大事

できるだけ早い段階で実現しておくべきことは、社員間でのSDGsに関する共通認識の構築です。

●なぜ自社がSDGsに取り組むべきなのか
●自社と社員にどのようなメリットが生まれるのか
●取り組まなければどうなってしまうのか
●具体的に何から取り組めば良いのか

経営陣のみがSDGsの推進を訴えたとしても、社員の理解がなければ取り組みは進みません。少なくとも上記を共有し、企業全体がSDGsを尊重する風土を作り上げましょう。

6-2.企業にあった目標を選択することが重要

SDGsは17の目標と169のターゲットからなりますが、必ずしも自社がすべての目標に取り組む必要はありません。各企業の事業内容ごとに貢献できる目標は異なります。

たとえば、外国からの製品の輸入が多い企業であれば、空路ではなく海路による輸送を徹底することで移動にまつわるCO2の排出量を削減できるでしょう。「目標13.気候変動に具体的な対策を」に大きく貢献できるはずです。

6-3.SDGsの専門チームや体制を整える必要がある

社員全員がSDGsへの共通認識を持つことは大前提ですが、主導的にSDGsへ取り組む専門チームの構築も大切です。SDGsにまつわる最新動向をキャッチアップし社内へ伝える役割を任せましょう。

また、SDGsへの取り組みが個人の評価にもつながるよう社内体制を整えることも有効です。表彰制度を採用して少額であってもボーナスを与えるなど、社員がSDGsに取り組みたいと思える環境を構築していきましょう。

6-4.知識を持ったプロにお願いすることも一つの手

「しかし、そもそも何から取り組めば良いのかわからない」「自社の課題の把握も難しい」といった場合は、最初から知識を持ったプロの力を借りるのも一つの方法です。

人材マッチングサービスのマイナビ顧問では、SDGsにまつわる高度なノウハウと実績を持つプロフェッショナルを貴社の希望に合わせてご紹介します。SDGsの取り組みの初期段階からご相談いただくことで、一貫性のあるコンサルティングをお約束します。

企業のSDGsへの取り組みは世界目標の達成に貢献するためのものですが、同時に自社の存在や価値をアピールする機会にもなり、新たなビジネスチャンスも期待されます。場当たり的ではなく戦略的に取り組むために、この機会に外部人材の活用をぜひご検討ください。

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7.まとめ

2030年のSDGs目標達成期限まで、あと数年ほどとなりました。それぞれの目標は規模感が大きく「個人でできることなどたかが知れている」と思う方もいるかもしれません。

しかし、17の目標は私たち一人ひとりの小さな積み重ねがなければ実現できないものであり、あらゆる個人と企業の参加が理想の未来につながります。個人レベルでは日常生活から自分にできることを探し、企業レベルでは責任感のある施策に取り組んでいきましょう。

顧問の紹介・派遣ならマイナビ顧問。顧問・社外取締役・アドバイザーとして、経営・組織・事業・営業・企画・海外戦略・管理部門など様々な経営課題を抱える企業へご紹介。