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女性活躍推進とダイバーシティの関係性とは?推進における課題や今後について解説

ダイバーシティ

「女性活躍推進法」をご存知でしょうか。これは、自らの意思で働くことを希望する女性が個性や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して制定された法律です。従業員が101人以上の企業には、女性活躍推進を図る行動計画の策定・届出と、女性活躍状況の情報公開が義務づけられています。

少子高齢化を背景とした人手不足や働き方の変化、さらに女性活躍推進法の制定を受けて、多くの企業では働く女性の活躍を支援する取り組みが始まっています。

この記事では、ダイバーシティとの関係性を踏まえながら、女性活躍推進における課題や今後の取り組みについて解説していきます。

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要 – 厚生労働省

1.そもそもダイバーシティとは

「ダイバーシティ」とは、多様性を意味する言葉です。企業においては、年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などの違いにとらわれず、あらゆる人材の能力を活かそうとする動きを指す言葉として使われます。ダイバーシティの概念のもと、多様な人材が能力を発揮することでイノベーションは生まれ、企業価値が高まっていきます。

以下の記事ではダイバーシティについてより詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

ダイバーシティを推進するために-企業における取り組みや課題、メリットを解説

2.ダイバーシティ=女性活躍推進ではない?

女性の雇用や活躍の場を広げることを「ダイバーシティ」と捉えている企業も少なくありません。しかし、ダイバーシティが意味する多様性は性別に限ったものではなく、年齢や国籍などさまざまな要素を含みます。女性活躍推進とは、ダイバーシティを踏まえた経営のうち、特に女性の活躍に焦点を当てた取り組みとして捉えるのが良いでしょう。

3.ダイバーシティ経営の「女性活躍推進」とは

女性活躍推進は、ダイバーシティ経営を実現するための第一歩として不可欠な取り組みと考えられています。

経済産業省では「ダイバーシティ経営」の定義を、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」としています。ここでの「多様な人材」とは、年齢や性別、国籍などの属性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含みます。

しかし、こと日本においては女性の社会進出はまだまだ進んでいるとはいえません。その状況を打破するためにも、多様性の中でもとりわけ女性活躍推進が重要視されているのです。

企業における女性活躍を始めとしたダイバーシティ経営の推進、女性の起業支援 – 経済産業省

4.日本のジェンダー・ギャップ指数の現状

世界経済フォーラムが2021年3月に公表した「The Global Gender Gap Report 2021」によると、各国における男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」について、日本は156ヵ国中120位でした。残念ながら先進国の中でも低いレベルとなっており、アジア諸国においても韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となっています。特に経済と政治の分野で順位が低い結果となりました。

経済分野で順位が低い背景としては、管理職における女性比率(14.7%)が低いことが挙げられます。また雇用面においても、パートタイムの割合は男性のほぼ2倍となっています。その結果、女性の平均所得は男性より43.7%低いことが指摘されています。このように、ジェンダー・ギャップ指数は日本における女性活躍推進の遅れを顕著に示しています。

The Global Gender Gap Report 2021

5.ダイバーシティ経営の女性活躍推進における課題

女性活躍推進を進めるにあたり、どのような課題が浮かび上がってくるのでしょうか。多くの企業にとって悩みとなる4つのポイントを解説します。

5-1.何から始めればよいのかわからない

女性活躍推進において、まずスタート時点でどこに手をつけるか悩む企業は多いでしょう。そんな時はまず、自社で女性が活躍している状態とはどのような状態なのかを明確にします。そのうえで、女性活躍推進法で報告が義務化されている情報を含め、管理職の数や勤続年数、満足度の高さなど、女性活躍推進において到達すべき指標を決めておく必要があります。

5.2.企業体制・環境の改善

女性活躍推進を踏まえた具体的な施策を実行するためには、社内の体制や制度、環境を整える必要もあります。たとえば、評価制度の透明性を高めることや、柔軟性のある働き方が選択できる制度を整備することなどです。管理職の教育や支援も求められるでしょう。

また、女性自らが特性や能力を発揮でき、リーダーを目指しやすい環境をつくることも大切です。多様なロールモデルを紹介したり、組織を超えたメンタリングや悩みを共有できるコミュニティづくりを支援したりすることも、女性活躍推進を後押しします。

このように、企業の体制や環境を改善し、全社を挙げたプロジェクトとして女性活躍推進に取り組む必要があるのです。

5-3.女性管理職の育成が難しい

女性管理職を増やすためのノウハウやナレッジが蓄積されていない企業は、女性管理職の育成が難しいと感じているかもしれません。 たとえば、ポジティブ・アクション(積極的差別是正措置)として女性を管理職に登用する場合も、社内の理解を得ながら適用する難しさがあります。女性管理職の育成は、社外からも情報を集めたうえで自社に合わせた工夫を取り入れることが求められます。

5-4.女性側の意識改革も必要

女性当人が管理職を目指したり社内で活躍したりすることに興味を持てず、制度や環境を整備しても有効に活用されないという声が聞かれることもあります。希望するスタイルで働きながら出世を目指すことを諦めてしまっているケースもあるかもしれません。

そうしたギャップを埋めるためには、柔軟な働き方やキャリアを選択できること、管理職としてのやりがいを伝えるなど、女性社員の意識改革を促す丁寧なコミュニケーションを継続する必要があります。

6.女性活躍推進の事例

ここでは、ある情報通信企業が行った女性活躍推進の事例をご紹介します。

事例1

企業では育児休業などの制度が十分に活用されておらず、出産を機に退職する女性社員が多い状況にありました。そこで、出産後も働き続けられる職場環境づくりを行いました。 結果、制度を利用するうえでの精神的な負担が軽減し、育児中の女性だけではなく男性の育休取得や介護中の社員の短時間勤務にも広がっていきました。介護や育児に携わる社員に限らず、全社員に「おたがいさま」の風土が醸成されたことで、改革が一気に進みました。

事例2

介護サービスを行うある企業では、社員100人以下という規模だからこその柔軟性と機敏さを活かした制度改善を継続しています。勤務時間の柔軟化や特別有給休暇の充実などで目指すキャリアを自由に選べる環境を整え、離職率を低下させることに成功しました。こうした社内の制度は一度にすべてを固定するのではなく、いったん整えた制度でも使われない場合は廃止するなど、トライアンドエラーを繰り返しながら整備したといいます。

このような具体的な取り組み事例を参考にしながら、ぜひ自社の行動計画の立案を目指してみましょう。

7.女性活躍の現状や今後について

新型コロナウイルスの感染拡大は、日本における男女共同参画の遅れを露呈させたともいえます。雇用情勢の悪化やひとり親世帯の窮状、子どもの休校などによる仕事への影響などにおいて、多くの女性がその皺寄せを受けることになりました。テレワークの広がりにより働き方が柔軟に選択できるようになったり、男性の育児参画が進んだりといったプラスの面も見られましたが、女性が男性の2倍以上の家事・育児を担っている傾向はコロナの前と後でも変わっていません。

これからの女性活躍推進においては、コロナ禍という特殊な状況下で明らかになった課題も踏まえたうえで、企業としての行動計画を立案していくことが求められるでしょう。

8.まとめ

女性活躍推進の取り組みは、法律によって課された義務に対応しつつ、自社での実質的な女性活躍に反映させるべきものです。女性活躍推進を効果的に行うことができれば、多様な人材の活躍を促し、経営的な価値を生み出すことも期待できます。

女性活躍推進にあたって不安がある場合や、取り組みを効率的に進めたい場合は、マイナビ顧問へご相談ください。マイナビ顧問では、経営ノウハウや課題解決に長けたプロフェッショナルとのマッチングにより、貴社の女性活躍推進に最適な専門家をご紹介します。

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