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経営戦略で企業が変わる?重要性や戦略の種類・フレームワークについても解説

経営戦略

経営戦略は企業の将来的な方針そのものを左右する大切な要素です。しかし、どこか抽象的なイメージも強く、混同されがちな用語も多いことから、正確に理解していない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、経営戦略の定義と必要性、分類や関連用語との違い、立て方や流れに至るまで詳しく解説します。

1.経営戦略の定義とは

経営戦略(management strategy)とは、企業が経営目標を達成し継続的に繁栄していくための計画や方針のことです。その定義は広く、限りある経営資源の分配策の立案や自社の現状(競合と比較した強みや弱み)の把握といった企業としての方策全般を指します。

2.経営戦略の必要性や目的

企業運営に経営戦略が欠かせないとされる理由には「移り変わりが激しい市場環境への適応」が必要であることが挙げられます。

2-1.経営戦略の必要性・重要性

IT・AIの躍進やビジネスのグローバル化、労働環境の変化に消費者ニーズの多様化、近年の市場の流れはかつてないほど急速に変動しています。めまぐるしい変化に翻弄されず企業として持続的に成長し続けるためには、場当たり的でなく将来を見据えた行動指針が必須です。経営戦略はその指針の役割を果たします。

2-2.経営戦略の目的

経営戦略の目的は、現状を分析して将来の予測をもとに自社の行動計画を明確化し、それを社員に共有することにあります。その場しのぎではないアクションを検討し、市場の変化にスピーディーかつ柔軟に適応していくことを目指す、企業としての生存戦略そのものともいえるかもしれません。

3.経営戦略は大きく3つに分けられる

経営戦略は、その規模や視点によって「全社戦略」「事業戦略」「機能戦略」の3種類に分類できます。

3-1.全社戦略

「全社戦略」は、企業やグループ全体の方向性を定めるための計画や方針を指します。企業戦略とも呼ばれ、事業の新規参入や撤退、予算や人的資源の配分といった、「今後、企業としてどう動くべきか」の見通しを検討します。通常はこの全社戦略をもとに次項の事業戦略が立案されます。

3-2.事業戦略

「事業戦略」は、個別の事業の方向性を定めるための計画や方針です。全社戦略が事業の取捨選択まで検討するのに対して、事業戦略は当該事業内での動きを検討します。例として、市場動向の把握や競合他社との差別化、事業内の経営資源の分配などが挙げられます。なお、単一の事業のみを取り扱う中小企業などでは、事実上「全社戦略=事業戦略」となることもあります。

3-3.機能戦略

事業戦略を実行するために必要となるのが「機能戦略」です。マーケティング・営業・人事・商品&サービス開発など、各部門レベルでの計画や方針を指します。

4.似ている用語・関連する用語との違い

続いて、経営戦略と似ていたり関連していたりなど、混同されがちな用語について確認していきましょう。

4-1.企業戦略・事業戦略との違い

企業戦略は全社戦略とも呼ばれます。前述でも説明したとおり、企業戦略(全社戦略)と事業戦略は、経営戦略の一部です。経営戦略という言葉が「企業戦略(全社戦略)」「事業戦略」「機能戦略」の3種類の戦略を内包しています。

4-2.経営戦術との違い

経営戦術とは、経営戦略を実行するための具体的な行動のことです。経営戦略が企業としての方向性の計画を主題としているのに対して、経営戦術はその方向性の実現に必要な施策の計画にまで踏み込みます。

ただし、両者の違いは厳密なものではありません。後述する、経営理念と経営戦略の区別を優先するために、経営戦略と経営戦術がほぼ同義とされるケースもあります。

4-3.経営計画との違い

経営計画とは、経営戦術と同じく、経営戦略を実行するためのアクションプランを意味します。ただし、経営戦術が「具体的な行動の策定」に注目するのに対して、経営計画はKPIの設定といった「成果の測定」に重きを置くケースが主流です。

4-4.経営理念との違い

経営理念とは、企業としての価値観やこうありたいという理想像を社内外へ表現する、自社の根底となる概念です。企業哲学と呼ばれることもあり、同じく企業としての方向性を取り扱う経営戦略よりも倫理的な意味合いが強い形で使用されます。

ここまでご紹介した経営戦略と混同されがちな用語をまとめると、以下のとおりです。

【経営戦略および混同されがちな用語】
●経営戦略:企業として方向性についての計画や方針
●企業戦略:経営戦略の一部。企業やグループ全体の方向性の計画や方針
●事業戦略:経営戦略の一部。事業の方向性の計画や方針
●経営戦術:経営戦略を実行するための具体的な行動計画。行動の策定が主眼
●経営計画:経営戦略を実行するための具体的な行動計画。成果の測定が主眼
●経営理念:企業としての価値観や在り方を示す概念。倫理的な意味合いが強い

5.経営戦略の立て方や流れ

実際に経営戦略を立てるためには、以下の4つの流れで行動することが求められます。

5-1.内部環境と外部環境の分析

まずは、内部・外部の環境分析によって自社の現状を明らかにします。少なくとも以下のポイントは分析しておく必要があるでしょう。

●現状の競合他社とのパワーバランス(自社の強みと弱み)
●現在、および将来の市場規模
●今後想定される新規参入者とのパワーバランス(自社の強みと弱み)
●消費者ニーズの現状と変動見込み
●将来的なリスク要因(例:AIの台頭によるビジネスモデルの変化)

5-2.目標の決定・明確化

続いて、上記のリサーチ結果をもとに企業としての目的や行動指針を明確化しましょう。既存事業にさらに力を入れるのか、いくつかは撤退して事業数を絞るのか、新たな収入の柱となる新規事業開発を目指すのかなど、大元となる企業戦略を検討するフェーズです。新規事業開発を目指すのであれば、候補となる分野のさらなる調査・分析も行います。

5-3.戦略の策定

企業戦略の立案後は、事業戦略と機能戦略を検討してアクションプランを整えていきます。経営層のみならず各部門の責任者も参加し意見を交わす段階です。部門レベルで機能戦略を考える中で、時には元となる企業戦略や事業戦略に無理があることがわかり、再考が必要となる場合もあるでしょう。その場合は、前提となる内部・外部の環境分析に問題がないか再確認するなど、柔軟な対応が求められます。

5-4.社内全体での情報共有

各部門のアクションとなる機能戦略まで構築できた後は、いよいよ社内全体での情報共有です。周知に成功すれば、全社一丸となった取り組みも進めやすくなります。また社員や部門のレベルにおいては、何が評価指標となるのかを明確に公表することでモチベーションのアップも期待できます。

6.経営戦略にはさまざまな種類がある?代表的な戦略とは

そのほかにも、経営戦略は方向性によってさまざまな名称に分類されることもあります。ここでは代表的なものを5つご紹介します。

6-1.ブルーオーシャン戦略

「ブルーオーシャン戦略」とは、競合相手がまったくいない、あるいは著しく少ない市場を新たに開拓して収益を上げる戦略です。

韓国の経営学者W.チャン・キム氏と、アメリカの経済・経営学者レネ・モボルニュ氏が提唱した概念で、「血で血を洗う争いが必要な過酷な市場(レッドオーシャン)を離れ、血が流れない海を目指す」という思想に基づいています。

6-2.コストリーダーシップ戦略

「コストリーダーシップ戦略」とは、商品・サービスを競合他社よりも安価に提供し、市場における主導権を握る戦略です。

大量生産や作業工程の効率化などのコスト削減策を徹底し、安く提供しても利益が出る状況を構築することを目指します。ハーバード大学経営大学院教授のマイケル・ポーター氏が提唱したことから注目されています。

6-3.差別化戦略

同じくマイケル・ポーター氏が提唱した、コストリーダーシップの真逆とも呼べるプランが「差別化戦略」です。

自社ならではの魅力を構築して商品・サービスを差別化したうえで競合よりも高額な価格帯で提供し、終わりのない価格競争からの離脱を図ります。いわゆるハイブランドを目指す戦略です。

6-4.多角化戦略

「多角化戦略」とは、「経営戦略の父」とも呼ばれるイゴール・アンゾフ氏が提唱した成長マトリクスの一つです。

現在の主戦場とは異なる新規市場に新規商品・サービスを売り出すことで、新たな収益の柱を手にします。成功すれば経営の安定化を強く実現できる一方、市場開拓と商品開発といった2種類のコストがハードルとなります。

6-5.グローバル戦略

「グローバル戦略」とは、国内を越えて海外市場を開拓し、世界的な枠組みで活躍を目指す戦略です。

商品やサービスを直接輸出することはもちろん、ライセンス提供やフランチャイズ募集により現地でビジネスパートナーを見つける手法も考えられます。IT技術の発展により国境の垣根が越えやすくなる中、現代企業にとって欠かせない経営戦略の一つです。

7.経営戦略に重要なフレームワーク

経営戦略の立案において、まずは自社の経営課題を正確に把握しなければいけません。そのために役立つのがフレームワークです。代表的なものには以下が挙げられます。

3C分析

Company(自社)・Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)の3Cを分析する手法。外部環境(市場・顧客・競合)と内部環境(自社)の把握を進める。

STP分析

Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)の頭文字を取った手法。多様な市場分析を進め、自社にふさわしい市場を選び、市場内での立ち位置(例:価格帯の高低)を判断する。

そのほか、経営課題の発見に役立つフレームワークは以下の記事で解説しています。

経営課題の見える化と分類に使える効率的なフレームワーク9選

また、フレームワークと併せて、ビジネスにおける「なぜ?」を解決できる経営理論についても理解を進める必要があるでしょう。フレームワーク単体では分析結果の理由までは把握しづらく、そのままでは誤った経営戦略を立案し得るためです。

8.まとめ

この記事では、経営戦略の定義や必要性、分類や似ている用語との違い、戦略の立て方やその流れについて解説しました。

経営にまつわる用語は複雑で、フレームワークや経営理論など一緒に把握しておくべき事項も多岐にわたります。もし、自社のみでの経営戦略立案が難しいと感じたのなら、マイナビ顧問を通じた外部アドバイザーの活用もご検討ください。経営全般に対する高度なノウハウと経験を持つ、貴社にふさわしいプロフェッショナル人材をご紹介します。

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