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IPO支援・IPOコンサルティングとは?種類やそれぞれの業務内容・特徴について解説

IPO

会社の事業が安定した時、次の段階へのステップとして検討される「IPO(株式上場)」。 上場企業となることは多くの事業者にとって夢ですが、そこには厳しい審査があり、内部体制の整備や継続的な監査といった数々の項目をクリアしなければいけません。 「上場したいけれど審査が通るか不安」という場合は、IPO支援・コンサルティングが役立ちます。

この記事で、IPOのメリット&デメリットとIPO支援の種類や特徴、選び方のポイント、IPO実現までの流れを見ていきましょう。

1.そもそもIPO(株式上場)とは?

IPO(Initial Public Offering)とは、証券取引所(株式市場)にて自社の株式を誰でも売買できる状態にすることです。日本語では「新規株式公開」や「新規株式上場」と訳されます。

IPOの成功は、自社が「上場企業」になることと同義です。しかし、企業活動に計り知れない恩恵をもたらしますが、実現や維持にかかるコストなど、押さえておくべきデメリットもあります。

まずは、IPOのメリット&デメリットから確認していきましょう。

1-1.IPO(株式上場)のメリット

IPOの代表的なメリットには以下の4つが挙げられます。

【IPOのメリット】

●市場で株式が売れることに比例して資金の調達ができる
●上場を目指す過程で社員の意識が高まり企業の成長につながる
●知名度の向上により企業の社会的信用度が高まる
●「上場企業で働きたい」と願う意欲的な人材を確保できる

特に社会的信用度の向上は、消費者の購買意欲の上昇や金融機関からの融資の獲得など、幅広いシチュエーションで有利に働きます。IPOは、企業として飛躍的な成長を遂げるための重要なステップです。

1-2.IPO(株式上場)のデメリット

一方、IPOには以下のようなデメリットも存在します。

【IPOのデメリット】

●「形式基準」や「実質基準」と呼ばれる厳しい基準を満たさなければならない
●企業情報の開示など透明度の高い経営が義務付けられているため、管理コストが必要
●監査費用や取引所への年間上場料など上場を維持するための必須費用がある
●企業に関係のない人が株式を購入できるため敵対的な買収のリスクがある

上場後は資金調達が容易となる一方、IPO実現のためには高額な初期費用やランニングコストがかかります。

たとえば、取引所への年間上場料は数十万円~数百万円の支払いが一般的で、このようなコストに耐えうるだけの企業体力が求められます。 また、IPOを成立させるためには、企業の継続性や信頼性などにまつわる厳格な審査をクリアしなければいけません。多くの場合、徹底的な社内体制の見直しが必須となります。

上場料金 - JPX日本取引所グループ

2. IPO支援・IPOコンサルティングの業務内容や必要性

社内体制の見直しなど、IPO成功に向けた企業の上場準備をサポートしてくれるのが「IPO支援」や「IPOコンサルティング」と呼ばれるサービスです。

2-1.IPO支援・IPOコンサルティングの役割や必要性

IPO支援(IPOコンサルティング)は、上場にまつわる高度な知見と豊富な経験を活かして企業にアドバイスを行う役割を担います。IPO成立のためには莫大な数の書類を提出したり、アカウンタビリティ(投資家に対する説明責任)を満たす透明性のある経営体制を構築したりと、広範な作業が求められます。

このような作業は独力での対応では大変な労力がかかるうえ、場当たり的な解決方法を採用してしまいがちです。しかし、IPO支援を活用すれば、上場に関する問題の大部分を専門家に任せられ、将来にもつながる対応を提案してもらえます。

2-2.IPO支援・IPOコンサルティングの主な業務内容

IPO支援(IPOコンサルティング)の主な業務内容は以下のとおりです。

【IPO支援(IPOコンサルティング)の主な業務内容】

●上場に向けたスケジューリングの支援
●審査資料に関する提案、作成支援
●資本政策に関する提案(持ち株比率やストックオプションなど)
●内部管理状況に関する提案(業務プロセスの可視化、J-SOXへの対応など)
●審査対応のサポート(質問への回答支援や書類作成支援)
●上場後のファイナンス業務にまつわるアドバイス

IPOにまつわるさまざまな作業について、一つひとつ適切な解決策を提案してくれます。現在の状態からIPO成立まで、自社に寄り添い導いてくれる案内人のようなイメージです。

IPO支援(株式上場支援) - BBS

3.IPO支援・IPOコンサルティングの種類や特徴

IPO支援の種類は「証券会社系」と「会計士系」の2種類に大きく分類できます。それぞれ特徴や強みが違うため、自社にふさわしいのはどちらか検討をしましょう。

3-1.証券会社系コンサル会社

証券会社系は、審査に関わる書類や回答書の作成に優れたコンサルタント会社です。取引所目線での知見を持っており、引受審査や上場審査などの審査対応のポイントを共有してくれます。

IPOの審査では「どのような意図でこの質問をされているのか?」などの趣旨を理解したうえで回答や補助添付書類を用意することが大切です。審査実務経験の豊富な証券会社系であれば、指摘の潜在的な意図まで教えてくれます。

3-2.会計士系コンサル会社

一方の会計士系は、内部統制や決算開示体制の整備を得意とするコンサルタント会社です。

「業務サポート」と「自立運用サポート」の2種類へ細分化でき、作業を直接手伝ってほしい場合は前者、ノウハウを獲得したい場合は後者が向いています。書類作成などの審査そのものの対応だけではなく、経営の透明化や財政の健全化など、企業としての成長までをサポートしてくれるのが強みです。そのため、上場後も見据えた体制を目指せます。

4. IPO支援・IPOコンサルティングを依頼するメリット

続いて、IPO支援を受けるメリットを具体的に解説します。

4-1.人材の採用・育成コストが省ける

目に見える形で恩恵を実感しやすいのが、人材関連のコストの削減です。上場のために必要な人材を自社で用意すると、その採用と育成には金銭的・時間的コストがかかります。しかし、IPOの準備は一定の期間で終わらせることができる作業です。あえて自社で人材を用意せず、一時的に外部からのコンサルを受ければ、人材コストを低減できます。

4-2.専門家の豊富な知識を取り入れられる

IPO支援やコンサルティングを担当するのは、上場に関する比類なき知見と経験を持つプロです。専門家の知識を取り入れることで、IPO実現の可能性を飛躍的に高められます。特に、実際にIPOを成功させた、あるいは審査側として携わったコンサルの意見は貴重です。自社独力の対応では想像もつかなかった解決策まで指南してもらえるでしょう。

4-3.会計ミスや申告漏れを防げる

プロの視点から会計ミスや税金の申告漏れを防いでくれるのもIPO支援を活用するメリットとして挙げられます。上場の準備段階で会計ミスや税金の申告漏れが出た場合、追徴金の支払いや審査の白紙化など深刻なトラブルが起こります。関係各所の心証も損なわれ、今後のIPOにも支障が生じかねません。万が一を避けるためには、初期段階からIPO支援を受けることが大切です。

5. IPO支援を依頼する際のポイントや注意点

ひと口に「IPO支援(IPOコンサルティング)」といっても、その質は依頼先ごとにさまざまです。支援を受ける前には、以下の4つのポイントに注意しましょう。

5-1.自立運用できる仕組みになっているか

特に注意しておくべきは、将来的な自立が望める仕組みになっているかどうかです。一般的なIPO支援では上場後もアドバイスを受けることになりますが、いつまでも頼る訳にはいきません。コストがかかり続けるうえに、過度な依存はリスクにもなります。IPOの成立後、何年ほどで自立運用が視野に入るのか、将来的な見通しを尋ねておきましょう。

5-2.サポート実績があるかどうか

IPOにまつわる過去のサポート実績も確認しておきたいポイントです。コンサルを受けても結果が出せなければ意味はありませんので、過去にIPOを成功に導いた実績のある会社を優先的に選択すべきです。一般的に大手証券会社などは実績が多く、豊富な知識を兼ね備える専門家が多いため、安心感も高めです。

5-3.時間やコストに無駄がないか

IPOは企業にとっての一大事であり、莫大な時間とコストが必要となります。しかし、具体的にどのくらいの時間やコストがかかるのかは依頼先によりまったく異なります。複数のIPOコンサルから話を聞くなど、可能な限り資源を無駄にしない工夫が大切です。

5-4.コンサルタントの強みや経歴を確認しておく

前述のとおり、コンサルには証券会社系と会計士系の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。また、直接やりとりするコンサルタント一人ひとりにも、それぞれに独自の強みがあります。コンサルタントの経歴を確認し、どの分野に強いのか、自社を無事にIPO成功まで導いてくれそうか、念入りに検討しましょう。

6. IPOまでの準備や流れ

IPOへの挑戦は、以下のような流れで行います。

【IPOまでの一般的な流れ】

STEP1:監査受け入れが可能な社内体制の準備
STEP2:監査法人の決定
STEP3:直前々期、直前期の監査を受ける
STEP4:取引所審査の通過

IPOでは、少なくとも申請の2期前から上場会社と同等水準の管理体制の構築と実施を行い、監査を受けることが求められています。一般的に必要となる準備は以下のとおりです。

【IPOまでに必要な準備】

●主幹事証券会社の決定
●外部主要株主などからの了承を得る
●プロジェクトチームの発足
●証券印刷会社の決定
●株式事務代行機関や取り扱いの決定
●社内規定の整備
●開示体制の整備
●資本政策の立案と実施
●財務諸表監査への対応
●内部統制報告制度への対応
●各種申請書類の作成

行うべき準備は多岐に渡ります。見落としのリスクを避けるためにも、IPO支援(IPOコンサルティング)の活用を検討してみると良いでしょう。

株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック - 日本公認会計士協会

7.まとめ

IPOは企業を大きく発展させることにつながる重要な取り組みです。資金調達が容易になるなど、さまざま恩恵を得られます。一方、IPOの実現には莫大な労力とコストがかかります。IPO支援の活用が現実的な成功のカギとなるでしょう。

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