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新規事業立案にはフレームワーク活用が重要!成功率を高めるポイントについて

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めまぐるしく変化する近年の情勢とマーケットの中で、収益を下げる企業と上げる企業が大きく分かれています。その大きな要因となっているのが、新規事業立案です。

新規事業を立ち上げることによって、企業は新たな収益の柱を手に入れることができます。しかしその一方で、失敗すれば時間や人の浪費、負債に直結するのが新規事業です。

そこでこの記事では新規事業立案の成功率を高めるポイント、またリスクを抑えるために取り入れるべきフレームワークを紹介していきます。本記事を最後まで読み進めることで、新規事業立案のプロセスや重要なポイントへの理解が深まり、今後に活かすことが可能です。

1.新規事業立案で得られることやメリット

新規事業立案は企業がさらなる収益を上げ生き残るための、マスト課題といえます。ただし失敗すれば負債を抱え込んでしまう、企業からすればリスクを感じる場面でもあります。

しかし、新規事業立案は業績面以外にも、自社へ恩恵をもたらすことができます。そこで、こちらの項目では、新規事業立案によって得られることやメリットを2つに分類して紹介します。

  1. 長期的に成長し続けるための打開策になる
  2. 次世代への優秀な人材育成につながる

それぞれ詳しく解説していきます。

1-1.長期的に成長し続けるための打開策になる

現代の事業環境の変化は非常に急激かつ多様です。新たなテクノロジーやビジネスモデルは日進月歩で生み出されており、常に同じやり方で安定した売り上げを続けていくことは歴史ある企業でも至難の業でしょう。

全国的に見ても倒産した企業の内、業歴30年以上の老舗企業が占める割合は、業歴10年未満の企業に比べても高い傾向があります。もちろん業歴別の企業数という分母の違いもありますが、外部環境の変化への柔軟な対応は、現代を生きる企業に求められる必須要件となります。

そんな中で長期的に成長し続けるための打開策が、新規事業立案になります。新規事業で企業の収益源を増やしていくことで、経営の安定性を自社にもたらすことが可能です。

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1-2.次世代への優秀な人材育成につながる

新規事業立案には、次世代の人材育成が期待できるメリットがあります。事業立ち上げでは、「なぜ、どうして、何のために事業を行うのか」といったビジョンが重要です。

ビジョンを定めずに見切り発車してしまった場合、一貫した軸を見出せないまま、判断が二転三転する事業展開が続いてしまいます。そのため新規事業立案では、社員が一丸となって目的・目標を考えなければいけません。

結果、それぞれが商材や自社に対して強い責任感を持つことになり、また与えられた仕事をこなすだけではない商売のノウハウを学べます。新規事業は未来の幹部を育成するうえで、多大なメリットをもたらします。

2.新規事業立案の流れやポイント

新規事業戦略にはストーリーが必要です。新規事業は少ない前例の中での取り組みになるため、時間軸に沿ってどのように実現していくのか、プロセスの綿密な組み立てがリスク低減の鍵を握ります。

そこでこの項目ではプロセスを正しく理解するために、新規事業立ち上げに際しての流れを5つに分類しました。

  1. 目標や課題の明確化
  2. 市場やターゲットのニーズ分析
  3. 新規事業のアイデア・プランの検討
  4. 現実的な行動計画の立案
  5. 行動の見直し・修正

それぞれで注意すべきポイントを解説していきます。

2-1.目標や課題の明確化

新規事業立ち上げの成功のためには、全員の進む方向を合わせ、一体となって動く必要があります。新規事業の成功数は、中小企業白書によれば調査した1,020社中292社と、3割にも満たない数字が出ています。また成功したと回答した企業の中でも、経営利益率が増加したと答えた企業は半数ほどで、成功への道がかなり厳しいことが分かります。

したがって、新規事業立案の際には、目標や課題の明確化が重要です。この部分を固めておくことで、想定外の事態にも上手く対処できるようになり、魅力的なビジョンであればチームに優秀なメンバーも生まれやすくなるでしょう。

第3章新事業展開の促進 - 2017年度版中小企業白書

2-2.市場やターゲットのニーズ分析

立ち上げた事業を成功させるためには、市場やターゲットのニーズ分析は欠かせません。自分達が売りたいもの、作りたいものだけを考えて新規事業を立ち上げてしまうケースも少なくありませんが、市場に需要のない商品やサービスを成功させることは難しいです。

もちろん、自社の強みを鑑みて、何を売るのかを決めるのも大切ではあります。競合となった場合に強みを発揮できれば事業の成功率は大きく高まるでしょう。

しかし業界や既存の商品、サービスを改めて見直し、市場の状況を把握することも同様に大切です。ターゲットの抱える問題を解決できるのかどうか、将来性のある市場なのかどうか、ニーズの分析が新規事業立ち上げの骨子となります。

2-3.新規事業のアイデア・プランの検討

ビジョンとマーケットを定めたならば、次はどのようなアイデア・プランで事業を立ち上げるのかを決めます。実際に何を、どのように販売するのか検討する段階で、新規事業の中身、いわば骨に肉をつけていく工程です。

とはいえ収益性のあるアイデアを見つけるのは簡単ではありません。どの企業も同様に競合のいないマーケットを探していますし、競合が多い市場で戦えている企業は自社だけの強みを持っていることが多いです。

新規事業のアイデア・プランの検討は、商品の特徴や市場の競合の状態、マーケットのニーズをしっかりと踏まえたうえで行わなければいけません。また、自社や商材の強みを全員で共有して、さまざまな角度から検討していくことも大切です。

2-4.現実的な行動計画の立案

アイデア・プランが決定したら、実際に新規事業を実行に移すための、具体的な行動計画を決定していきます。その際には「5W1H」というビジネスの基本に、「だれに、いくつ、いくら」を加えた6W3Hで考えていくやり方があります。

しかしここが多くの企業にとって問題が発生するポイントかもしれません。新規事業立ち上げを実施していない企業の課題として最も多く挙げられる理由は、必要な技術・ノウハウを持つ人材の不足です。

次点で販路開拓が難しい、さらに必要なコストの負担が大きい、と続きますが、どれも現実的な行動計画を考えた際に浮き彫りとなる問題点です。最初に立てたビジョンからブレないよう、長期的な視点での計画策定が必要になります。

第3章新事業展開の促進 - 2017年度版中小企業白書

2-5.行動の見直し・修正

新規事業が立ち上がったからといってゴールではなく、むしろここがスタートです。事業を軌道に乗せ収益を上げていくには、マーケットやターゲットをさらに分析し、ニーズに合わせて次々に改善していく必要があります。

カスタマージャーニーマップなどを駆使した顧客目線での考えも、見直し・修正では役に立つでしょう。ただし注意しなければならないのは、新規事業の成功率が決して高くない点です。

ビジネスには、1勝9敗という言葉もあります。新規事業は思いがけない方向に転がることも多く、時には思い切って事業の再構築、撤退の判断もしなければいけません。そのタイミングの見極めにも、行動の見直し・修正フェーズは重要な役割を果たします。

3.新規事業立案の効率化が可能に!活用すべきフレームワークとは?

ここまで新規事業立案に際し、重要なプロセスなどを紹介してきました。新規事業立案では、やるべきことが膨大にあり、複雑であることが分かったと思います。多くの企業が新規事業を諦めているのも、無理はありません。

しかしその問題は、フレームワークの活用で解決可能です。フレームワークとは枠組みや構造を意味する英単語ですが、ビジネスシーンでは過去に有用と認められた考え方の枠組み、という意味で用いられます。フレームワークを正しく活用できれば作業は効率化し、アウトプットの質も高まります。

4. 【目的別】新規事業企画の立案に役立つおすすめフレームワーク8選

フレームワークをただ活用しても、作業の効率化やアウトプットにはつながりません。大切なのは正しいタイミングで適したフレームワークを使用することです。

そこでこの項目では、新規事業企画の立案時に役立つフレームワークを、それぞれのプロセスごとに紹介していきます。

4-1. 経営理念・ビジョン決定のためのフレームワーク

新規事業立ち上げの際の最初にあるプロセス、経営理念・ビジョン決定のためのフレームワークは、以下の2つがおすすめです。

  • MVV
  • PEST分析

経営理念・ビジョン決定段階で、新規事業を成功させるために重要なのは、「なぜ、どうして、何のために事業を行うのか」を明確にしておくことです。それができるのが、この2つのフレームワークになります。

4-1-1. MVV

MVVとは、「ミッション(Mission)」「ビジョン(Vision)」「バリュー(Value)」の頭文字を合わせた言葉です。

以下、それぞれを解説します。

  • ミッション:使命・自分達がなぜその事業をするのかを明らかにする。
  • ビジョン:理想の会社、組織像・その事業が何を目指すのかを明確化する。
  • バリュー:組織の価値観、価値基準・実現のためにどのように行動すべきか、どのように実現していくのか。

MVVを活用することで、組織全体での自社の存在意義や役割の再認識が可能です。今後の方針や目指すべき目標をチーム全体で共有できるため、新規事業立案では最初に活用したいフレームワークといえるでしょう。

4-1-2. PEST分析

PESTとは、「政治」「経済」「社会」「技術」それぞれの頭文字を合わせた言葉です。これら4項目の3~5年後を予測することで、自社でコントロールできないマクロ環境を把握・分析が可能です。

つまり、PEST分析は自社のポジショニングや狙うべきマーケットを明確化し、事業戦略やマーケティング戦略上の中長期的な課題を発見することに非常に役に立ちます。

業界や企業をとりまく環境は、常に変動していくものです。新規事業の立案・立ち上げの際には、その変化を正確に捉えることが重要といえるでしょう。PEST分析は経営理念・ビジョン決定のタイミングだけでなく、その都度行うことでより高い効果を期待できます。

4-2. 事業の方向性やマーケット分析のためのフレームワーク

経営理念・ビジョンを定めたならば、次は事業の方向性やマーケット分析が必要です。ビジネスの世界においてマーケティングは非常に重要で、調査せずに市場参入を試みるのはあまりに危険だといわれています。

このプロセスで役立つおすすめのフレームワークは、以下の2点です。

  • 3C分析
  • STP

それぞれ詳しく解説します。

4-2-1. 3C分析

3Cとは、「顧客・市場(Customer)」「自社(Company)」「競合他社(Compertitor)」の頭文字を重ねた言葉です。つまり3C分析は、利害が絡み合う3者の視点から分析を行うフレームワークになります。

3C分析を用いることで、顧客の購買決定プロセスや競合他社の戦略などまで分析が可能です。結果、顧客が本当に求めているものや、競合他社に対して優位に立つ方法まで見出すことができるようになります。

そのため3C分析は、自社の立ち位置を見極め、戦略を明確化することに非常に役立ちます。事業の方向性を決める際やマーケット分析のためには欠かせないフレームワークといえるでしょう。

4-2-2. STP

STPは、効率的なマーケティングを行うためのフレームワークです。「市場細分化(Segmentation)」「市場・顧客の選定(Targeting)」「自社の立ち位置(Positioning)」の3要素からなり、ポジショニング戦略を練る場合には非常に重要です。

STPのメリットとして、顧客やニーズの分布の整理がまず挙げられます。さらに自社のプロモーション戦略の明確化や、競合他社の存在の把握なども可能です。また数あるマーケティング論の中でも、適用できる商品やサービスの幅が広いという特徴も持っています。

ターゲットを絞ることや自社の立ち位置を確認することに関して、STPは非常に優秀です。事業の方向性の決定やマーケット分析にも大きく寄与してくれるでしょう。

4-3. 新規事業のアイデアを発想するためのフレームワーク

事業の方向性を決めマーケティングを行ったならば、次は新規事業のためのアイデアやプランの検討を行うプロセスとなります。ここで非常に有用となるフレームワークが、以下の2つです。

  • オズボーンのチェックリスト
  • KJ法

どちらもアイデアが煮詰まった時にヒントをくれるフレームワークで、いままでになかった視点で商材を考えるきっかけを与えてくれます。

4-3-1. オズボーンのチェックリスト

オズボーンのチェックリストは、下記の9つの質問に回答する形で、発想のヒントを得るタイプのフレームワークです。

  1. ほかに使い道はないか。
  2. ほかからアイデアを借りられないか。
  3. 変えてみたらどうか。
  4. 大きくしてみたらどうか。
  5. 小さくしてみたらどうか。
  6. ほかのもので代用できないか。
  7. 入れ替えてみたらどうか。
  8. 逆にしてみたらどうか。
  9. 組み合わせてみたらどうか。

いくらブレストを行ってみても、妙案がパッと思いつくことはあまりありません。新規事業立案のような大きな案件であれば、アイデアが煮詰まることの方が多いでしょう。

そんな時にオズボーンのチェックリストを活用すると、思いもよらない着想が得られる可能性があります。

4-3-2. KJ法

KJとは、発案した文化人類学者の川喜田二郎氏のイニシャルです。KJ法は下記の4つの工程を辿ることで、思いつきを効率よく整理・グループ化し、アイデアとして昇格させられるフレームワークです。

  1. アイデアの単位化
  2. グループ化
  3. 図解化と相関化
  4. 文書化

アイデアを可視化しやすく、また整理・グループ化することからロジカルシンキングにまとめやすいことが大きな特徴です。

さらに少数意見が考慮されにくいブレストにおいても、KJ法を用いることで多数意見と同列にまとめられるため、偏りのないアイデアの組み立てを可能にします。特に多くの人が参画し、多数のアイデアをまとめる際に有用なフレームワークです。

4-4. 現実的な行動計画を立てるためのフレームワーク

新規事業は予想外のことも多く発生するため、具体性を伴う現実的な行動計画は、6W3Hで考えても非常に難解なプロセスです。しかしだからこそ、以下の2つのフレームワークは非常に重要になります。

  • ビジネスロードマップ
  • PDCAサイクル

どちらもほかのフレームワークと併用することで、より大きな効果が見込めます。

4-4-1. ビジネスロードマップ

ビジネスロードマップとは、目標達成に必要な事項を時系列で大まかに書き出したものです。中長期の計画の場合、数年・10年単位のビジネスロードマップになります。

設定した目的の達成のため何が必要なのか、またどんな障害があるのかなどをビジネスロードマップで把握できます。全体像が視覚的に見えるため、行動の明確化やチーム全員が状況を共有しやすくなるのも特徴です。

さらにビジネスロードマップを作成し使用していくことで、新たな問題点に先んじて気づけるようにもなります。見通しが難しい新規事業立案では、問題が発生してから対処していては遅い場合もあるために、ビジネスロードマップは大きな手助けになるでしょう。

4-4-2. PDCAサイクル

PDSAとは、「計画(Plan)」「実行(Do)」「測定・評価(Check)」「対策・改善(Action)」の頭文字です。PDCAサイクルは、それらのプロセスを循環させ、事業計画をブラッシュアップしていくフレームワークになります。

  1. 計画:目標や目的を設定し、実行計画を立案する。
  2. 実行:計画を実行に移す。
  3. 測定・評価:実行した内容を検証する。
  4. 対策・改善:検証結果により、今度の対策や改善を検討する。

失敗した内容をしっかりとフィードバックし新たな計画を連続的に実行することで、効果検証を行いながら最適化が可能なのが、PDCAサイクルの特徴です。現実的な行動計画を実行するうえで、欠かせない考え方といえます。

5. まとめ

新規事業立案の成功率は、決して高くありません。めまぐるしく変化する市場に応えるためにも、それぞれのプロセスに適したフレームワークを活用することが、今後の企業に求められる課題といえます。

とはいえ、新規事業の成功にはまだ多くの難題が残されています。フレームワーク自体も、当てはめるだけだからといって、簡単に使いこなせるわけではありません。使用者の知識と経験により、得られる結果は大きく増減します。

マイナビ顧問は、豊富な人脈や高度な経営ノウハウを持つ課題解決のプロフェッショナルと企業とのマッチングサービスです。新規事業提案に課題を抱える企業へ、その解決に適した顧問、アドバイザーを紹介します。

新規事業の立案方法について、ぜひ今回の記事を参考に理解を深め、今後の発展の礎にしてみてください。

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