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ダイバーシティを推進するために-企業における取り組みや課題、メリットを解説

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働き方の変化や慢性的な人手不足、労働者のライフプランの多様化に対応するために、ダイバーシティ推進は企業にとって急務です。しかし、具体的なビジョンが描けず現実的な取り組みに至っていない企業も多いかもしれません。

そこで今回は、ダイバーシティが注目される背景やメリット、取り組みの課題、ポイントなどを解説していきます。

1.ダイバーシティとは

ダイバーシティとは「多様性」を意味する言葉です。企業においては、年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などの違いにとらわれず、あらゆる人材の能力を経営に活かそうとする動きを指します。

ダイバーシティを推進することは、「一人ひとり違って当たり前であり、その違いを否定することなく受け入れ合おう」という職場風土の醸成につながります。

1-1.ダイバーシティ経営の定義

経済産業省が定める「ダイバーシティ経営」の定義は、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」とされています。従業員がそれぞれの特性を惜しみなく発揮し、生き生きと働き続けられる職場環境の実現を目指すものです。それにより製品やサービスに革新がもたらされ、企業の競争力強化が期待できます。

1-2. 経済産業省が行っている取り組み

ダイバーシティ経営を推進する経済産業省では以下のような取り組みを実施しています。

・新・ダイバーシティ経営企業100選
ダイバーシティ経営を推進し、成果をあげている企業を選定し表彰
※令和2年度をもって終了

・なでしこ銘柄
女性活躍推進につながる優れた取り組みを実施する上場企業を選定し公開
※東京証券取引所と共同で実施

・ダイバーシティ2.0
ダイバーシティ実践における方向性を明示した行動ガイドラインを策定

ダイバーシティ経営の推進 - 経済産業省

2.ダイバーシティが注目されるようになった背景

ダイバーシティという言葉やその取り組みが今日のように注目されることになった背景には何があるのでしょうか。3つの理由を解説します。

2-1.雇用意識・働き方の変化

ダイバーシティが注目されるようになった大きなきっかけには、雇用に対する意識や働き方の変化が挙げられます。近年、副業や復業、フリーランスなど、一つの企業に縛られない働き方や家庭・趣味などプライベートを大切にするワークライフバランスの考え方が浸透してきました。「終身雇用制度で定年まで勤め上げる」というキャリアが当たり前ではなくなり、企業が労働者から選ばれる立場となったことで、ダイバーシティの概念は無視できないものとなりました。

2-2.労働力人口の減少による人手不足

15歳以上かつ就業者と完全失業者を合わせた「労働力人口」の減少により人手不足が加速したことも、ダイバーシティが注目される背景にあります。総務省の調査によると、令和3年時点の労働力人口は前年比で8万人減少しています。2年連続の減少で、この流れが続けば慢性的な人手不足は避けられない状況です。労働力人口の中には休職者や完全失業者も含まれていることから、これらの人材を囲い込むためにも、ダイバーシティの推進が不可欠です。

2-3.女性や中高年の活躍を推進する動き

労働力人口が減少する日本の企業活動を支えるためには、育児中の女性や定年を迎えた高齢者の安定的な雇用を実現することが重要です。日本では長きにわたり、女性は結婚や出産のライフステージの変化によってキャリアの継続を諦めざるを得ない社会構造がありました。しかし近年では、女性の長期的なキャリア構築を支援するため、育児休暇制度などの公的支援も拡大されています。中高年も従来は60歳の定年で引退するのが当たり前でしたが、近年は働く意欲を持つ人材を積極的に再雇用する企業も増えています。

3. 企業におけるダイバーシティを推進させるメリット

企業にとって、ダイバーシティを推進することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。主な3つのメリットを挙げていきます。

3-1. 企業価値を高めることができる

あらゆるシーンで多様性が叫ばれる現代において企業活動にダイバーシティの概念を積極的に取り入れることは既存の従業員に安心感や期待感をもたらします。また、ステークホルダーなど社外に対して柔軟な企業であることのアピールにもつながります。

3.2. 人材の確保につながる

ダイバーシティの推進は、人材確保において効果的なアプローチになります。経済産業省による令和2年の調査によると、ダイバーシティの推進によって得られた恩恵の第1位は「人材の獲得」であることがわかっています。優秀な人材を長期的に獲得するためには、さまざまなキャリアやライフスタイルのビジョンを描く人材を受け入れられる企業風土の醸成が重要です。

ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ - 経済産業省

3-3.新しいアイデアが生み出せる

ダイバーシティの推進により、新たなアイデアの創出が期待できます。従来の組織は似通った価値観や思想、経験を持つ人材の集まりとなるケースが多く、発想も一辺倒になりがちでした。しかし、ダイバーシティの推進により多彩な人材が集結すれば、いままでにない着眼点から新たなアイデアの創出が見込めます。

4.ダイバーシティ推進の課題

ダイバーシティを推進する際には、それによって生じる課題にも目を向けなければなりません。

一つ目は、密なコミュニケーションの必要性が高まる点です。多種多様な人材が集まるということは、それぞれが持つ価値観や思想も大きく異なる可能性があります。互いの主張に耳を傾け、受け入れ合ったり譲り合ったりする姿勢を自然に促す職場風土づくりが重要です。定例ミーティングで定期的なコミュニケーションの場を設けたり、オフィスレイアウトを工夫して自然発生的なコミュニケーションを増やしたりする取り組みが必要です。

また、ダイバーシティを推進するためには従業員の意識を改革することが大前提となります。人の思考や感情に関わる改革は一朝一夕ではいかず、会社側の想定通りに進まない部分もあるため、工夫が必要となるでしょう。

5. ダイバーシティ推進に取り組むためのポイント

効果的にダイバーシティを推進するにあたっては、いくつか押さえるべきポイントがあります。以下の3つを踏まえたうえで具体的なダイバーシティ推進に取り組んでいきましょう。

5-1.勤務体系や雇用形態の整備

ダイバーシティの推進においては、まず多様性を受け入れる土壌を整えることが必要です。ワークライフバランスを保てる時短勤務、柔軟な働き方を実現するテレワークやフレックスタイム制の導入、キャリアの挑戦をサポートする副業支援規定の策定などが挙げられます。また、雇用形態によって優越をつける風潮をなくし、個人が能力を最大限に発揮できる働き方を提供することが求められます。

5-2.社内全体の意識改革を行う

ダイバーシティ推進の当事者となる従業員の理解がないと、従業員同士の差別やハラスメントが生まれかねません。したがって、ダイバーシティに関する社内教育は欠かせないものです。ダイバーシティを推進する目的や、対応するための会社の変化、従業員への影響などを共有し、具体的なイメージを持てる材料を社内で共有しましょう。

5-3.新たな評価制度の整備・導入

ダイバーシティの推進によりさまざまな境遇の人材を受け入れるためには、それぞれに対応可能な社内ルールの整備が必要です。現状、多くの会社では「1日8時間オフィスに出勤して働く」といった就業規定のもとで働き方が定められていますが、どのような働き方でも平等に人材を評価できる環境を整備しなければなりません。

6.取り組みの事例紹介

ダイバーシティ推進においては企業ごとにさまざまな課題が考えられますが、なかでも「性的マイノリティ」は周囲からの理解が得られにくく、当事者が職場で不利益を被る機会が少なくありません。近年、社会的に理解が広がっているものの、当事者が働きやすい職場づくりが浸透しているかといえばまだ十分ではないのが実情です。カミングアウトしていない当事者は不自由な労働環境を受け入れざるを得ない現実もあります。

性的マイノリティの人も働きやすい職場を実現させる取り組み事例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 経営トップが「ダイバーシティ宣言」をコミットメント。CSRの取り組みに人権尊重を掲げ、性的指向・性自認による差別の撤廃を明文化。
  • 性的マイノリティ雇用推進の担当者を配置。採用面接から当事者とのコミュニケーションを実施。
  • 社内イントラにて、LGBTの関連情報を発信し従業員へ啓発を行う。
  • LGBTを含めたダイバーシティ推進度のアンケートを定期的に実施。
  • 性的マイノリティの相談窓口を設置。
  • マネジメント層へLGBT研修の実施。

ダイバーシティの推進は、上記のような開放的で明瞭な取り組みの継続でのみ実現できます。自社の風土や従業員の特性に適した取り組みを検討しましょう。

職場におけるダイバーシティ推進事業について - 厚生労働省

7. まとめ

ダイバーシティの推進は、企業の成長拡大を加速させる効果的な取り組みとなるはずです。ただし、職場環境の急激な変化は既存従業員の戸惑いや誤解を招く可能性があります。まずはダイバーシティの概念を浸透させることからスタートさせ、経営層と現場との認識や考え方のギャップを生まないことが大切です。

ダイバーシティ推進にあたって不安がある、効率的に進めたいという場合は、マイナビ顧問へご相談ください。マイナビ顧問では、経営ノウハウや課題解決に長けたプロフェッショナルとのマッチングを行っており、貴社のダイバーシティ推進に最適な専門家の紹介が可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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