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問題解決のための脱HOW思考

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思考の順序はWhy、What、How

ものごとはWhy、What、Howの順番で考えるのが定石です。しかし頭では分かっていても、多くの場合、Howありきの発想で考えてしまいます。

Why:目的や在りたい姿
What:現状と在りたい姿のギャップ
How:上記を解決する方向性と具体策

これは日常生活から仕事の場面まで、ありとあらゆるところで観察されます。

Howで始めるとなぜ失敗するのか

例えば、ダイエットで考えてみましょう。
痩せたいという思いが先行し、在りたい姿を忘れてすぐにHowに走ります。そして、青汁などの食品系や腹筋マシンやダンス手法を提案する類の情報商材にいきつきます。しかし、なぜ痩せたいのか?なぜダイエットが必要なのか?ということを考えないので、在りたい姿と現状とのギャップがフワフワしたままです。したがって、どのくらいの期間で、どの程度痩せるかが不明確なままHowを求めているのです。結果的に、何らかの商材を購入することで満足して終わってしまうのです。

例えば、貯金はどうでしょう。
最近の若い人は、とにかく不安なようです。少しでも将来のためにと思い、少ない原資を貯蓄にまわします。しかし、そもそも将来はどうなっていたいのかが不明確なままなのです。もし、本当にお金の心配をするとしたら、その通貨は本当に日本円で良いのでしょうか。そのようなことを考えることもなく、とりあえず貯金を続けて思考停止に陥ります。将来必要な金額とのギャップが見えているのであれば、選択肢としてのHowの中に、今の自分自身に投資をして、必要なキャッシュを稼ぐという頭に仕上げていく勉強をするなどの項目も出てくるでしょう。

報告書もよくある失敗例のひとつです。
もともとは、本部が組織の活動を把握してフィードバックをとる目的があったであろう報告書。組織は、企業の目的を達成させるために、それらを分析してより良い仕事をする仕組みを作ることなどに活用します。しかし徐々に形骸化して、フォーマット通りに書かなければハンコが押されないという結果になっている組織を多く見てきました。報告するという作業そのものに意味がなければ、フォーマットを踏襲することにも意味はないはずです。しかし、組織の誰もそこを考えていないので同じことが継続されているのです。

そして、もっともありがちなのが会議の時間です。
全ての会議がなぜか1時間という時間をとっています。何のために、なぜ行うのか?そのためには誰を呼ばなければならないのか?という思考がないまま、とりあえず1時間の会議を設定していることが多いのです。現状の報告会であろうが、問題の議論であろうが、議題とは関係なく設定される1時間です。その会議の在るべき姿を考えない結果、結局は中途半端な時間を過ごすことになります。

Why、Whatに立ち戻り、問題を根本解決へ

効率が悪く失敗してしまうのは、そもそも安易なHowしか考えずに、もっと大切な在るべき姿であるWhyを考えていないからなのです。組織のトップとして重要なことは、トップの目的や在りたい姿が現場サイドにはほとんど共有されておらず、彼らが日々、行う狭い領域にしか視線がいっていないということを再認識することです。当然のことながら、トップは自社のミッションやビジョン(Why)を明確に認識しており、その上で戦略(What)を構築しています。そして、その戦略は管理職を通して現場に通達されます。現場でもビジョンと戦略を認識しながら自分の役割(How)を遂行できればよいのですが、実際はこれらのWhyやWhatは抜けてしまっていることが多いのです。
近年、急速に成長している企業は自社のWhyを組織に浸透させることを非常に重視しており、キャッチコピーとして共有しています。TEDは「価値のあるアイデアを広める」、Googleは「世界中の情報を整理する」、Quirkyは「発明を、誰もがアクセスできるものに」。このようにWhyをクリアにした組織は、組織全体が、Howに対してWhyを意識しながら行動できるのでしょう。トップはこのことを肝に銘じて、たまには、現場サイドと現状を共有し、あれ、目的ってなんだっけ?と問いかけ、組織の在るべき姿へ意識を向けることも大切ですね。





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【著者】
早嶋聡史(株式会社ビズ・&ナビ&カンパニー代表取締役社長)

経営者のモヤモヤをスッキリするコンサルティング会社の代表。コンサル事業では売上規模で100億円前後のオーナー社長や経営陣に対して戦略立案の支援、問題解決の支援、計画実行の支援を提供。研修事業では上場企業の管理職に対してマネジメント、戦略立案、問題解決のワークショップを提供。M&A事業では小規模M&Aに特化したM&Aアドバイザリー業務の提供。ボンド大学MBA。一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事。

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